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「福島原発事故と内部被曝」~「裁かれた内部被曝~熊本原爆症認定訴訟の記録」より

先ほどの記事
「裁かれた内部被曝~熊本原爆症認定訴訟の記録 」(花伝社)が7月末に出版予定
の「裁かれた内部被曝~熊本原爆症認定訴訟の記録」ですが、
ちなみに私の執筆担当部分はズバリ「福島原発事故と内部被曝」という箇所です。
紙面に限界のある小論ではありますが、

フクシマへの国の対応を内部被ばく論争の歴史的観点からどう見るか
ヒロシマ・ナガサキの健康被害の実態から国の「安全基準」をどう見るか
ヒロシマ・ナガサキの経験からフクシマのためにくみ取るべき教訓は何か

という観点から弁護士が問題提起をした文章としては珍しいのではないかと思います。
(ミナマタの教訓をフクシマへ、というのは前にも本で出していますし、各所で論じられていますが。)

↓以下、転載。ぜひ本を買って他の箇所もお読みください。

[2]福島原発事故と内部被曝
弁護士 菅 一雄
1 「安全神話」の崩壊と放射性物質の拡散
 「日本の原発は絶対に安全」「チェルノブイリのような事故は起こらない」…政府と電力会社はこう宣伝してきた。ところが、重大事故は起きた。
 2011(平成23)年3月11日、東日本大震災をきっかけに東京電力福島第一原発事故が発生した。地震と津波による電源喪失で炉心冷却機能が失われた。国民注視の中、政府や東電は炉内の温度すら把握できぬまま情報収集と対応に右往左往した。マスコミでは御用学者が「安全」を連呼したが、時を追って事故の深刻さは明らかになっていった。燃料棒の被膜は融解し、圧力容器、格納容器には穴が開き、大量に投入された冷却水は放射性物質を含む汚染水となり配管やプールの破れから漏れ出た。圧力容器内圧を下げるためのベントが繰り返され、大気へ放射性物質が放出された。水素爆発により建屋は大破し、放射性物質は原発周辺に拡散した。政府・電力会社・御用学者らの言う「安全装置」は機能せず、原子炉とともに「安全神話」も崩壊したのである。
 大気に漏洩した放射性物質の量は37京Bq以上、2号機から放出された高濃度汚染水が含む放射性物質の量は330京Bqとの推算もあり、そのどれだけが地下水・海水に漏れ出たかも不明である。事故は収束しておらず、今も放射性物質は放出され続けている。福島発の放射性物質は気流や海流を通じて世界中に拡散している。
 政府は事故直後には「国際評価尺度(INES)」のレベル3(重大な異常事象)、同レベル4(施設外への大きなリスクを伴わない事故)と評価していたが、4月12日にはINESの上限でチェルノブイリと並ぶレベル7(深刻な事故)という暫定評価に至った。

2 内部被曝の危険性への注目
 莫大な放射性物質の拡散により人々は「どれくらいの放射線レベルまでなら安全なのか」という問いを突きつけられた。
 原発周辺地域では放射線の増加が顕著で、国から屋内待避指示、避難指示などが出された後、最終的に、福島原発から半径20km以内の「警戒区域」や事故後1年間の積算線量が20mSv以上になると予想される「計画的避難区域」の住民へ避難指示が出された。より安全な場所を求めて福島県内外への「自主避難」を行う者も多数出た。
 水道水や米、魚、茶など食品からも相次いで放射性物質が検出された。2011(平成23)年3月17日、厚生労働省は「暫定規制値」を定めて食品衛生法による規制を及ぼした(翌年4月数値基準見直し)。業者による自主的な線量検査・出荷停止なども行われている。今や日本中の生産者・流通業者・消費者が食品の放射線レベルに関心を持たざるをえない。
 こうした中、内部被曝の危険性に注目が集まっている。
 もともと福島原発事故で問題とされているのは、福島原発から直接発される放射線の危険性ではなく、福島原発から放出された放射性物質が人間の生活圏に移動し、その放射性物質が発する放射線の危険性である。原爆になぞらえれば、初期放射線ではなく残留放射線の危険性である。しかも、原発周辺住民への屋内待避・マスク着用などの指示、食品の放射線量の規制は、放射性物質の体内摂取による内部被曝に特別の危険性があることを前提とする対応である。その意味では原爆症に関して内部被曝の危険性を無視してきた国の立場は破綻しているのである。
 とはいえ、国が内部被曝の危険性を正確に認めたとは言えない。そもそも避難区域の設定や食品の規制基準策定において国が基礎としているのは国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方であり、内部被曝の危険性を過小評価しているとして欧州放射線リスク委員会(ECRR)などからの強い批判もあるところである。そもそもIAEAやICRPは基準を定めるにあたり、広島・長崎の原爆のデータや「研究成果」を用いている建前であるが、そのデータや「研究成果」自体が広島・長崎の被爆者の被曝の現実(例えば入市被曝)に目をふさぎ、内部被曝の影響を隠蔽したものに過ぎない。IAEAやICRPの考え方では、広島・長崎の被爆者の苦しみを説明できない。むしろ広島・長崎の被爆者の現実に照らせば、国の基準は放射線の、とくに内部被曝の危険性を過小評価しているおそれが大である。

3 汚染と症状に関する広範で継続的で中立公平な調査を
 福島原発事故は未だ現在進行形である。事故は収束していない。健康被害も晩発的影響が出るのは早くて数年、遅くて数十年以上先である。放射線の危険性に関しても解明途上である。
 広島・長崎の原爆被害の現実からくみとるべき教訓は多いのではなかろうか。
 放射線影響の解明において、放射線量と症状と両方のデータが重要だが、広島・長崎での被爆直後の調査妨害・懈怠、その後のデータ隠蔽は重大な妨害となった。また、核戦略を推進する立場の米政府がデータを独占して「研究」し、「研究」内容を放射線影響を矮小化する方向に歪めた。さらに、67年後の現在も放射線の健康影響は現在進行形である。近時の民間の疫学調査(プロジェクト2004)によっても、時を経て発症例が増加したために放射線との因果関係がより明らかになった疾病もあった。国は被爆者の現実に目を背け、継続的な健康調査を怠り、勝手に国の「基準」を定めて「放射線影響なし」として被爆者を切り捨て続けている。
 福島で被害者切り捨てを繰り返してはならない。
 そのためには、汚染状況(内部被爆を含む)と症状の広範かつ継続的な調査が必要である。この調査は行政の責任で行い、結果は公開すべきである(プライバシー情報を除く)。調査の中立性・公平性を保つためには、行政と御用学者任せにしてはならず、調査体制に住民を手続的に関与させ、監視しなければならない。民間の独自調査も期待される。
 「100mSvまで放射線を浴びても大丈夫」との発言で「ミスター100ミリシーベルト」の異名を取る山下俊一氏が、すでに2011(平成23)年7月、福島県立医科大学副学長及び福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに任命された。住民側の監視の強化とそのための運動(民間の独自調査を含む)が求められる段階に入っているといえよう。
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